ワークフローシステムのメリット・デメリット
先日、ワークフローシステムを導入したい とご相談を受けることがありました。
紙での押印は、保管場所も取りますし、データの利活用がしづらいので、
デジタル化した方が良いのは間違いないと思います。
また、デジタル化という意味では、ワークフローシステム にして、
電子決裁 まで行うのは正しい姿だと思います。
ハンコをもらう為に出社は、合理的ではありません。
ここで考えなければいけないのは、
今までの仕事の仕方をそのままデジタル化すると、業務効率が落ちる場合がある
ということです。
一般的に言われているワークフローシステム導入のメリットとデメリットは以下の通りです。
ワークフローシステム導入のメリット
- いつでもどこでも承認・決裁が可能
- 紙の購入コスト削減
- 保管業務、保管スペースの削減
- 紛失や改ざんの防止、内部統制の強化
- 検索機能による、過去の意思決定の情報資産化と情報活用
ワークフローシステム導入のデメリット
- ツールの使い勝手が悪いと、業務効率が極端に落ちる
- ITスキルの優劣によって、処理時間に差が出る
- 言葉の補足が無いので、判断しやすい、分かりやすい文書が必要
起案・確認・承認・合議・決裁 の使い分けをしていますか?
決裁とは、申請・起案内容に対して許可(合意)もしくは不許可(却下)という 最終的な判断を下すこと です。
極端な話、起案と決裁さえあれば、会社としての意思決定が可能です。
それ以外の押印は、あくまでも補足ということで、意思決定のスピードで考えると、スピードを落とす余分な行為 ということになります。
組織が大きくなれば、仕事を進める上で、関係者の確認や合意が必要な事も多いと思います。
ただし、決裁文書ですので、何か問題があれば、文書にハンコを押した人が責任を取るということです。
私の経験では、責任を取るということを説明すると、なぜか、ハンコの数は極端に減ります。
決裁内容の情報共有ということであれば、決裁ルートからは外して、決裁後の文書を公開する ことで共有が可能です。あえて決裁ルートに加えて、決裁のスピードを落とす必要はありません。
機密情報が含まれるので公開できない、情報公開する人に文書を回したい場合も、情報公開先を限定すれば良い と思います。決裁ルートに載せる人は、あくまでも、案件の可否を判断する人、責任を取る人が理想です。
決裁文書の品質や、内容の質を上げるために、確認・承認 が必要なこともありますが、ワークフローシステム上で行うことではない と思います。システムに登録する前に済ませておく事で、いきなり電子承認の依頼が来て、内容確認して承認してください(責任を取ってください)、といった仕事は、あまり無いと思います。
一般的に言われている 決裁パターン は以下の通りです。
<直線型>
あらかじめ指定されたルートに沿って、申請→承認→決裁の流れが直線的に進むパターンです
<指名型>
直線型から派生したもので、決裁ルートの途中で新たに承認者を指名・追加するパターンです
<条件分岐型>
申請内容や金額によって、決裁ルートが分岐するパターンです
<並列型>
AND承認、OR承認、多数決承認 などの承認条件を加え、決裁までの承認を複数用意するパターンです
複雑な決裁パターンにすると、どこで決裁が滞っているのか、進捗を把握するのが難しくなります。
決裁スピードも遅くなるので、できるだけシンプル にする必要があります。
システム・カンタービレでは、ツール導入の支援だけでなく、
お客様の決裁ルートの見直しも含めたご相談も承っています。
お気軽にご相談ください。
ITディレクター 小林 弘樹