DX推進指標の分析レポートについて
既にご存じの方も多いと思いますが、2022年8月17日に、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)から、経済産業省が作成した「DX推進指標」を用いて、各企業が自己診断した結果を収集して分析したレポートが公表されました。
対象は、2021年1月から12月までに提出された486件です。
2020年は307件、2019年は248件となっていて、gBizIDを使ったWeb提出なので、かなり手間の掛かる面倒な調査です。
それでも提出数が増えているということは、DX認定企業の認定も絡むとは思いますが、各企業、かなり真剣に取り組んできていると感じています。
(提出のメリットは分析レポート内に協力企業一覧として社名が掲載されることです)
詳細はレポートを読んでいただくとして、私が気になった部分をあげます。
この分析レポートは、自己診断票の各項目で、現在 と 3年後の目標 を、5段階の成熟度レベル として診断したものをまとめたものですが、現在の成熟度が3以上の先行企業の割合が倍増しています。
現在の成熟度3以上の先行企業の割合
年度 | 企業数 | 割合 |
---|---|---|
2021年 | 86社 | 17.7% |
2020年 | 26社 | 8.5% |
2019年 | 11社 | 4.4% |
その一方で、現在の成熟度が3未満の企業も依然として多く、まったく取り組めていない企業は、診断結果を提出することは無いと思うので、DX推進は道半ば、まだ取り組めていない企業も挽回のチャンスがある と思いました。
現在の成熟度3未満の非先行企業の割合
年度 | 企業数 | 割合 |
---|---|---|
2021年 | 400社 | 82.3% |
2020年 | 281社 | 91.5% |
2019年 | 237社 | 95.6% |
先行企業と非先行企業で、何について取り組みの差があるのか もレポートされています。
先行企業と非先行企業の取り組み差(平均値の下位5指標)
指標 | 先行企業 | 非先行企業 | 差 |
---|---|---|---|
投資意思決定・予算配分 | 3.55 | 1.33 | ▲ 2.22 |
IT投資の評価 | 3.62 | 1.44 | ▲ 2.18 |
経営トップのコミットメント | 3.92 | 1.82 | ▲ 2.10 |
人材育成・確保 | 3.36 | 1.33 | ▲ 2.03 |
人材の融合 | 3.37 | 1.35 | ▲ 2.02 |
投資の意思決定や予算配分については、「お金が無い」の一言で片付けられてしまうと思いますが、新しいことをしようとすれば 先立つモノ が必要です。
新しいことの9割は失敗すると言われていますので、無駄金を使いたくない気持ちも分かりますが、高額なIT機器やソフトを買うことにお金を使うのではなく、IT機器やソフトの費用は抑えて、それを使う人にお金をかければ、未来に繋がる投資になると思います。
特に、人材の融合 については、技術に精通した人材 と 業務に精通した人材 が融合してDXに取り組む仕組みが求められているので、情報共有の場・コミュニケーションを行う場として、共同作業が行えるデジタル環境の整備 が重要だと思います。
この部分にお金を掛けることで、新しいことに皆で取り組むきっかけ になります。
最後にお決まりの宣伝ですが、
システム・カンタービレでは、人材育成の支援や、社内の情報共有の仕組みづくりも行なっています。企業向けの集合教育も可能ですので、お気軽にご相談ください。
ITディレクター 小林 弘樹